カミカゼ☆エクスプローラー

SPECIAL CONTENTS -スペシャルコンテンツ-


  • 「こそ~り……こそ~り……」
    「ハッ!」
      (パシャッ、パシャッ、パシャッ!)
    「あの……なにをやっているんですか、まなみさん……」
    「ぎゃああっ!?」
    「わぁっ!?」
    「と、智ちゃん!? びっくりしたぁ~、驚かせないでよ」
    「驚いたのはこっちですよ……。カメラなんか構えていったいなにをやっているんです? 盗撮ですか?」
    「盗撮なんかじゃないよ! ただ、ただね。この澄之江学園には、ちょっとかわいい女の子が多すぎるんじゃないかって思ってるわけよ」
    「はぁ、それで盗撮ですか」
    「だから盗撮じゃないっての! しかもその論法じゃまなみが女の子に興味あるみたいじゃん!」
    「ではいったい、なんのために?」
    「それは……ほら、なんていうの? これだけかわいい子揃いなら、その中の誰かが、お、お兄ちゃんの……彼女になっちゃうって可能性も……あったりなかったりしちゃうわけじゃん?」
    「ふむ、そうですね……。確かにその可能性は少なくはない気がします。お年頃ですしね」
    「でしょう? だから、そういう可能性が高そうな女の子を徹底的に調べてるわけよ」
    「兵法の基本、敵を知り己を知れば百戦危うからずというヤツですね。さすがです、まなみさん。感服いたしました。盗撮は盗撮ですが」
    「ぐぬっ……」
    「で、いつ襲撃なさるんですか? まなみさんはお友だちですし、お嬢様の許可がおりるなら私も協力させていただきたいと……」
    「どぅあらっしゅ! 襲撃なんかしないよ! 物騒だなぁっ」
    「(どぅあらっしゅ??? なに……?)」
    「……しないんですか? 速瀬さんの彼女になりそうな芽を今のうちに潰しておこうという話だと……」
    「ちーがーいーまーすっ! わたしそういうの好きじゃないもん。ただね、ただ――」
    「ただ?」
    「その子たちの魅力的な部分を研究して、自分に活かしたいだけだもん……」
    「速瀬さんのために、そこまで……」
    「そう、わたし、お兄ちゃんのためならなんだって……じゃなくて!! 違うもん、お兄ちゃんは関係なくて自分磨きのためだもん!!」
    「(速瀬さんの彼女が云々はどうなったんだろう……)」
    「……なによ」
    「いえ、それでどのような女性をターゲットにしているんですか?」
    「そりゃあ、お兄ちゃんの近くにいる魅力的な女の子だよ。決まってるじゃん」
    「(やはり、速瀬さんが……)」
    「フフフ、話は聞かせてもらった。なるほどな。速瀬妹はバカだと思っていたが、なかなかどうして、面白いことを考えるじゃないか」
    「菜緒さん、いつの間に……」
    「こ、近濠先輩!? 今、なにげにまなみのことバカって言った?」
    「よしよし、せっかくだ。この私が協力してやろう。感謝してくれてもいいんだぞ?」
    • 「今バカって……」
    「無駄です、まなみさん。残念ですが……」
    「智、おまえもこい。手伝え。速瀬妹は30分後に部室にこい。私がおまえの調査対象の一人を用意してやる」
    「は、はぁ……」
    「申し訳ありません。こんなことになってしまって……。では、後ほど」
    「あ、うん、またあとでね」
    「……うう、近濠先輩だけはさすがに苦手だなぁ。お兄ちゃんも苦手みたいだし……よく美汐ちゃんもあの人を付き人にしてるよね……いろんな意味で」
      そして、30分後――
    「まなみです。来ましたー」
    「きゃあっ、ま、まなみっ!?」
    「んなっ!? 美汐ちゃん!? なんてかっこうしてんの!? ハッ……も、もしかして、その恰好でお兄ちゃんを籠絡しようと……」
    「ち、ちがっ! こんな恰好してるところを速瀬に見られたら、わたし恥ずかしくて死んじゃうわよっ」
    「ハハハ、どうだ速瀬妹。お嬢様のこの魅力の前では速瀬だってイチコロリ。まず最初に調査しておく対象ではないか? ん?」
    「た、確かに……! っていうか、智ちゃんと近濠先輩まで着替える必要はどこに……」
    「きゃは☆」
    「きゃは☆じゃないわよ、にゃお! こんな恰好させていったいどうするつもりよ!?」
    「おそらく菜緒さんが見たかっただけかと思います」
    「ぽち、あとでおしおきな?」
    「それは酷いですっ」
    「私が見たかったというのはともかくとして、この圧倒的な戦力差を早々にわからせてやることで、戦意を喪失させるのが目的です」
    「……戦意って誰の?」
    「もちろん速瀬妹のですよ。速瀬妹は妹の分際で兄である慶司を思い慕っているわけで、同じく速瀬慶司を幼少のみぎりから――」
    「わー! きゃあ! わーわーわー!」
    「ななっ、なにを言いだすのよ、にゃおっ!!」
    「わ、わたしは別にお兄ちゃんのこと、お、おおお、思い慕ってるとかじゃないんだからねっ!!」
    「失礼いたしました。くくく……」
    「ああ……菜緒さん楽しそう……」
    「まったく、ホントに近濠先輩はろくなことしないんだから……」
    「実はな、速瀬妹。偶然おまえに合うサイズのバニースーツがもう一着あるんだが……」
    「そんなのわたしが着るわけないじゃん!」
    「そうか、それは残念だ。私の調査では、速瀬慶司がバニーガール姿に劣情を催す可能性はかなり高いと出ているんだがな」
    「そ、そういえば、バニーな本が実家のお兄ちゃんのベッドの下に……」
    「……せっかくだし、まなみのバニー姿も見たいわね。すごくかわいいと思う……」
    「え、いや、だからって着たいってわけじゃ……」
    「私もできれば是非」
    「ちょっ、智ちゃんまで!?」
    「キマリだな。捕まえろ、智」
    「ハッ」
    「い」
    「いやあああああああああああああああっ!!」